増え続ける空き家~どうなる?日本の住宅事情
空き家率13.5%
日本の住宅市場はすでに「飽和状態」をはるかに通り越して「大幅に余剰」している。
総務省が今年7月29日に公表した「平成25年住宅・土地統計調査」(速報集計)によれば、平成25年10月1日時点での総住宅数6063万戸と、5年前に比べ305万戸増加し、約820万戸の空き家を抱えている。
日本全体を賃貸住宅経営に例えるとその空き家率は13.5%と、決して健全な状態とはいえない。この調査は5年毎に行われているが、前回(2008年)の空き家数は756万戸であり、5年で実に63万戸の空き家が生まれたことになる。
本調査がいわゆる「全数調査」でないことから、数字が正確でないと批判する向きもあるが全くナンセンス。本格的に人口・世帯数が減少する今後、特に団塊世代がいなくなるころには、このままいけばおびただしい数の空き家を抱えることは必至だ。
空き家対策推進特別措置法案」の効果はいかに?!
こうしたなか、今秋の臨時国会では「空き家対策推進特別措置法案」が与党によって提出される見込みだ。
法案ではまず、老朽化で倒壊する危険がある、景観や衛生を損なったりしている空き家を「特定空き家」に指定。市町村が特定空き家の家主に除却や修繕、立ち木の伐採などを指導・助言したり、勧告・命令したりできるようにする。命令に従わない家主には50万円以下の過料を科すほか、行政代執行も可能になる。
ただ、実効性の点では疑問が残る。
いくら強制代執行で、空き家を壊してその費用を売主に請求できるとしても、事実上回収できないケースが頻発するだろう。先陣を切って空き家対策に乗り出している秋田県秋田市では実際、代金回収の見込みが立たない案件が複数ある。
とはいえ、あまりにこの法案が効きすぎてしまった場合、空き家が同時期に大量放出され市場が崩れる可能性もある。法施行後の効果を見ながら微修正する必要もあるだろう。